岸田さんが総裁選不出馬を表明し、次期総裁の座を目指して一気に騒がしくなった永田町。お盆があけていよいよ次の総裁に向けたレースが本格化していきます。報道ではすでに何人か候補として取り沙汰されていますが、今回は河野さんに注目して考えてみたいと思います。
「異端児」「改革派」の異名を取る河野さんですが、旧態依然としたものの象徴のような「派閥」に所属し続けています。
過去には派閥に所属しながら、派閥の考え方にとらわれない行動や発言をすることで、「新しい政治のあり方への期待」のようなものを抱かせてくれたこともありました。そんな期待感が「次に総理大臣になってほしい政治家」ランキングのようなものがあると、河野さんの名前が毎回挙がる原動力になっていたと思います。
時代は流れて紆余曲折あり、派閥は解体されることとなりました。人間の集まりですから派閥解消と言ったところで人と人との繋がりが消えてなくなる訳ではありません。実際には派閥のように全体の考え方を取りまとめる議員がいて、それに従う議員もいるということは、多くの有権者だって折り込み済みだと思います。派閥から出て、自ら同志を集めて総裁選を目指す。そんな行動がとれないのは何故なのでしょうか。
「自力で仲間を集められない」素直に考えれば一番最初に思い付く理由はこれです。派閥のボスである麻生さんへの恩義から、派閥を出ていきたくても出ていけないのでは?という考え方もありますが、河野さんなりに色々な場面で麻生さんへの恩返しはしているように見えますし、そもそもそこまで義理堅いようにも思われません(それだけ義理堅い人ならば、麻生さん以外の人とでも多少なりともそういうエピソードが聞こえてくるはずですが、そのようなエピソードは聞いたことがありません)。
一般国民の目線で見れば所属していることの方がマイナス要素となる派閥。それでも抜けられないのは総裁選立候補のための推薦人20人を自力で集めることが出来ないからなのでしょう。
逆に言えば外野でワーワー騒ぐだけの一般国民とは違い、より近いところで一緒に仕事をしていて、河野さんの人となりをより知っているであろう同僚の中から自力で20人の仲間を集められないという事実が、一国の総理を目指す人間としてふさわしいかどうかを如実に物語っている気がしてなりません。
そういう意味では早々に推薦人の目処をつけて立候補を表明できる小林氏のほうが、経験不足とか言われることもありますが、人間としては人の上に立つ素養を備えていると言えるのかもしれません。ただ、この動きも選挙に弱い中堅若手が烏合して祭り上げただけなら、すぐにメッキは剥がれると思います。総裁選までの間に、派閥解消によって生まれたこの新しい動きの真贋を見極める必要がありそうです。