今朝の報道で、昨日20日に行われた自民党役員会において、副総裁の麻生さんから岸田さんに対し、総理総裁として成果をあげたことについての謝意が伝えられたとの記事がありました。
一般の社会でも退職する方に対して謝意を述べる場面は当たり前に見る光景です。魑魅魍魎が跋扈する政界のニュースとして、表面的に見るとさも一般的にありそうな内容が何故報じられるのか?情報の受け手としてはそちらを意識して記事の内容を読み解く必要があると思います。
麻生さんの発言の中で「政策で結果を出していただき、支えてきたかいがあった。これまでの努力に感謝を申し上げたい」という内容がありました。麻生さんが一番伝えたかったのは岸田さんへの謝意ではなく「支えてきたかいがあった。」の部分です。あくまで自分(麻生派)が支えてきたから政権運営できたということを忘れるなというメッセージです。
総裁選に旧岸田派から候補者をたてても、麻生派が下支えしなければ勝ち目はない。旧岸田派からは林さんと上川さんが立候補を模索していますが、旧岸田派というだけで「岸田路線の継承」「旧岸田派」等と報道されることによるマイナス効果は避けがたい情勢です。
「次の総裁選に立候補しない」と表明するタイミングを意のままにコントロールできたのは岸田さん本人です。お盆の最中に表明することで党内に波風を立てることにも成功していることから、表明後の初動準備が一番万全に出来ているのは岸田さん(及び旧岸田派)のはずです。ところが蓋を開けてみると「派閥はなくなった」と言われて旧岸田派から二人が立候補する始末...。岸田派が政治闘争に弱いといわれる宏池会の本流であることを改めて実感させるような動きとなっているのも事実です。
麻生さんはそのような岸田派の状況も見極めつつ、旧岸田派の動きを牽制したと見るのが妥当だと思います。
早くもさや当てが始まっているんだなと思って記事を見ると、表面的には何ということもない記事の裏に様々な思惑をもって動く人間の息づかいが聞こえてくるようで、この辺りは活字媒体ならではの良さかなぁと感じるところです。
早速牽制を受けた岸田さん(旧岸田派)。次の記事ではそんな岸田さんがキングメーカーとして名乗りをあげるための総裁選の戦い方について考えます。