自民党総裁選について、前回の記事で候補者が乱立するシナリオを検討しました。目下のところ議員達は決選投票にどの候補が残るか、そして残った候補のうちどちらを推せる(投票できる)か、「推しの子」探しに躍起となっているように見えます。
さて、今回は前回記事で指摘したもうひとつのシナリオである「候補者調整シナリオ」について考えていきます。
こちらのシナリオに展開していくためには二つの条件があります。
【条件1】立候補を目指す候補者たちのうち、20人の推薦人を集められないケースが複数人で発生する。
【条件2】推薦人を集めて候補者として立候補した後、何らかの形で決定的な支持の差が明確化する。
まず、条件1について。
現時点で立候補を目指しているとされる候補者候補は11人から12人いると言われています。そのうち小林さん、石破さん、河野さんは立候補を表明済みです。小泉さん、高市さん、林さん、茂木さん辺りは近々立候補表明を予定しています。逆に言うと残りの候補、具体的には上川さんや齋藤さん、野田さん辺りは推薦人確保に苦戦していると言われています。こうした候補者たちが立候補を断念すると同時に、誰を支援すると表明するのかによっても総裁選の展開は左右されていきます。
上川さんは同じ岸田派出身ということで林さん、女性活躍といった視点から高市さん、ウルトラCに近いですが大宏池会構想具現化の第一歩として河野さんなど、比較的どの候補も支持表明しやすい立場にいると考えられます。最終的に林さんも総裁選当日まで残れなければ、先に上川さんが支援表明している候補を支援することで岸田派として再結集という展開もあり得ます。
条件1によって立候補者が8人前後に絞られた後、更に条件2が発動します。
現時点で一番実現可能性が高いシナリオは、小泉さんの出馬表明前までに立候補表明した各候補の主張に対し、小泉さんが「裏金政治をぶっ壊す」と、父である純一郎さんを彷彿とさせるワンイシューに持ち込んで、民意をガッチリと掴むというシナリオです。こうなると、刷新の小泉VSその他守旧勢力となってしまい、総裁選期間中にマスコミ露出することが長期的な視点で見たときに不利に働くことも懸念されます。また、総裁選までもつれ込んだとしても、推薦人の数(20)よりも議員得票が少なくなるような結果となっては、後の政治家としての存在感にも悪影響が出てしまいかねません。こうした懸念を回避しようとする勢力(基本的には弱小勢力から順番にということになると思います)が、総裁選出馬継続を断念して、他候補の支持に回る(勝ち馬に乗る)展開です。
この他にも政治資金や女性問題等のスキャンダルが出る、上記シナリオとは逆に小泉さんの出馬表明会見が全くの不発に終わる等、今後の展開はまだまだ不透明ですが、これらの事象により候補者数が更に絞られて4人程度となれば、決選投票までもつれ込まずに一回目の投票で決定という可能性もあり得ます。
今後も引き続き総裁選動向に注目していきたいと思います。