自民党総裁選について継続的に言及して以来、政治カテゴリの記事を書いていなかったので、今回は久々に政治に関しての記事にしようと思います。
低い支持率...石破さん支持者はどこへ?
自民党総裁選は石破総裁の誕生で幕を下ろし、総理となった石破さんは、早速衆議院の解散を宣言(総理就任前に解散権を行使する旨の会見を行うという、本当に政治家か?と驚くようなスピード感ある対応でした)します。
総裁選期間中の「国民に判断する材料を提供してから信を問う」という自らの発言は忘れちゃったのかな?と思うほどの変わり身の早さを見せました。
世間は総理就任後の石破さんと自民党の動きを見て落胆したのか、石破総理就任後初めて行われたNHKの調査によれば、内閣支持率は44%となり岸田総理就任時の49%よりも低いという結果となったようです。
https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/
「選挙管理内閣」と言われ、いかに総選挙を乗りきるかという、党内的にはほぼこの一点で争われたと言って良い今回の自民党総裁選の結果誕生した総理が組閣した内閣の支持率としては、寂しい結果と言わざるを得ません。総裁選時あれだけ「国民人気の高い石破」と言われていたのに、石破さんを応援していた国民はどこに行ったのでしょうか?消えたのか?そもそも国民人気の高い石破というフレーズ自体が幻だったのか?と思うような状況です。
変わってしまった石破さん
答えは「石破さんを応援していた国民が消えたのではなく、応援を受けていた『石破さん』が消えた」です。
石破さんは、「党内野党」と揶揄される位、これまでの自民党主流派とは距離がありました。そんな石破さんの歯に衣着せぬ発言が、元々自民党を支持しない人達に受けて「国民人気」のようなものを演出していました。それでも自民党の力が強いときは、いかに反主流派の石破さんの人気が高くてもスターダムにのしあがることはありません。あくまで「外野の主役」であり、中心的な自民党支持者が支持する主流派が安定した力(その善し悪しは別として、安定した政権運営)を発揮しているからです。
ところが、主流派のなかで王道を邁進していた安倍さんがローンウルフの凶弾に倒れます。「安倍一強」と言われた党内情勢下で、キングメーカーとして君臨すると思われた安倍さんの不在が、今回の候補者乱立にも影響を与えたと思われます。
かくして主流派の動揺を横目に、振り子が反対側に振れるようにして石破さんのもとに支持が集まり、石破総理の誕生となりました。
実際に総理になって初めて、石破さんは総理の制約の多さを実感したのでしょう。ただでさえこれまでのような自由な物言いが出来なくなることに加え、過去の自身の発言がブーメランのように飛んでくる。過去の発言内容を実現しようとすれば関係者の強硬な反対に遭うし、発言を反故にすれば国民から落胆の声があがる。
この辺りは民主党が政権を奪取したときと同じような状況かもしれません。ただ、それより質が悪いのは、相手が民主党という外部の存在であれば、与党となった民主党への反発が振り子の原理で自民党に流れるわけですが、今回の石破さんは自民党内、それも総裁であり、自民党のど真ん中にいる存在に対しての落胆や反発が生まれているということです。こうなると自民党には党勢回復のために切るカードがありません。石破さんを切るカード(総裁をやめさせて新生自民党をアピールする)は、岸田さんの総裁選立候補断念→石破総裁誕生で使ってしまっているので使えません(使っても国民に「またか...」と落胆されてしまうだけなので逆効果)。
どこよりも早い総選挙結果
個人的には今回は、自民党は石破さんと一緒に一度落ちるところまで落ちるしかないんじゃないかなと思います。そして敗戦処理の過程で石破さんを総裁から追い落とし、小林さん辺りで挙党体制を演出して次の参院選までに党勢を回復させて最小限のダメージで乗りきるのではないでしょうか。
麻生さんから高市さんに「石破後を見据えて飲みに行っとけ」という謎の激励が送られたようですが、今回の総裁選でここまで党を二分した相手方である高市さんをトップに据えて挙党体制を演出するのは至難の技だと思います。高市さんを前面に立てることで今回埋没した小林さん辺りを担いで前面にだし、高市さんを中心とする旧安倍派勢力でそれをサポートする位が現実的だと思います。
自民党のゴタゴタを受け、立憲民主党や維新の党辺りが議席をどこまで伸ばせるか、総選挙後を見据えて今から合従連衡に向けてどこまで調整できるか。立憲民主党の総合選挙対策本部長代行(ながっ...ちなみに本部長は野田さん)に就任した小沢さんがどう動くか(往年のような剛腕を振るえるのか?)にも注目です。