以前の記事で、石破さんには「嫌われ続ける力」が足りないと指摘しました。
自民党総裁選の序盤動向を読む(6)石破さんは「嫌われ続ける力」が足りない
この時の懸念が早速具現化してしまいました。裏金問題によって非公認となった議員への2000万円の政党助成金支援問題です。
今回の総選挙にかかる資金援助として、公認候補には公認料として500万円、政党助成金として1500万円の計2000万円が支給されているそうです。公認候補と非公認候補で金額的な差がないとなると、実質的には「ステルス公認」と指摘されても言い逃れ出来ない状況となってしまいました。せめて公認料の500万円を除いた1500万円を支給していたなら、100歩譲って「1500万は政党としての活動を行うための金として支給した」と言うことも出来たかも知れませんが、しっかり公認料の500万円も上乗せして支給しているところが何とも...という感じです。
石破さんは知っていたのか?倒閣運動の一貫か?
石破さんが承知の上で行われたことなのか、一任された森山幹事長によるものなのかは不明ですが、自民党にとっては投開票日直前に強烈な逆風となってしまいました。個人的には石破さんはこの件について詳細を把握していなかったのでは?と思います。ただ、非公認の選挙を勝ち上がった候補者については、国民の信託を得たということで裏金問題について一定の決着がついたものとして、速やかに自民党支部長復帰を認めるというような戦後処理については、幹事長と認識を共有していたのではないでしょうか。
その中で森山さんは自身が郵政選挙で刺客を放たれた側の議員であったこともあり、非公認議員に対してある種の温情のようなものをかけてしまったのだろうと思います。世間では「森山さんが実は反石破派で、敢えて裏金議員にお金を配ることで石破内閣を崩壊させる計画だった」という人もいるようですが、流石にそれは陰謀論過ぎると思います(今回の件を公にしたのは共産党の機関紙ですし、そこに情報をリークして書かせるとは考えにくいと思います。また、石破内閣を倒閣しようと思う勢力が仮にいたとしても、総選挙期間中に動くのは自身が落選の憂き目を見る可能性もあるため危険性が高すぎます。今回の選挙が直接自身の身分に影響しない参議院側の動きであれば...という考えもあるかもしれませんが、それにしても共産党の機関紙を動かしてまでとは考えにくいです)。
石破さんはどうすれば良かったのか?
結局、石破さんはどうすれば良かったのでしょうか?私は「少数の生け贄を出して、その人を徹底的に攻撃する」しかなかったんだろうと思います。まさしく小泉さんが郵政選挙で刺客を放ったように、裏金議員を敵と定めて、国民に変わって糾弾する急先鋒に石破さん自らが立つ必要がありました。無所属で立候補する裏金議員に勝てなくても、急ごしらえでも良い(むしろ勝てない程度に善戦して貰うのが一番いい)ので、対立する候補を自民党公認候補として立てて、その候補者を積極的に支援することで徹底的に裏金議員と戦う姿勢を見せるのです。
それによって、当の裏金議員やその議員が所属していた派閥からは確実に敵対視されることになるので、誰を生け贄にするかは慎重に検討する必要がありますが、徹底的に潰す候補者を選定してその候補者を糾弾する姿を国民に見せることで「国民の側に立っている」ことをアピールする必要がありました。
「誰からも嫌われない」政治は無理!嫌われ続ける覚悟が未だに感じられない石破さん
ところが実際は、そもそも自民党総裁選立候補時に裏金議員に対して行うとした処分からトーンダウン(百歩譲ってここまでは、党内支持基盤の弱い石破さんだからやむを得ないとすることもできる)し、更にここに来てステルス公認ともとれる処遇を行っていたことが判明してしまった。残念ながら民意は完全に石破さんから離れてしまったと見て良いでしょう。今や自民党は結党以来最大の窮地に立たされていると言っても過言ではないかもしれません。
今週末、自民党に対してどのような審判を国民が下すのか、注目です。