- 国民民主党の迷走が始まった
- スジ悪ポイント1 そもそも全有権者に占める30歳未満の割合が少なすぎる
- スジ悪ポイント2 この政策で支持を集めても、その支持者達も時限的な支持者にしかなり得ない
- 若年層も当たり前に歳を取る
- 今までの支持者が離れかねない悪手
国民民主党の迷走が始まった
玉木さん率いる国民民主党が迷走し始めています。
【記事はコチラ】
国民民主党が30歳未満対象の「若者減税法案」を10日に提出へ 参院選に向けて若者の支持拡大を図る狙い
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6534969
今夏の参院選に向けて政党支持率を高めたいのはどの党も同じです。自民党はさすが政権与党という感じで強みを発動し、国民全員にいくらかの給付を行う検討を始めたようですが、国民民主はまだそこまでのバラマキを約束するのは難しかったのでしょう。年齢で区切った法案を出してきました。
この法案のスジの悪さを2点挙げたいと思います。
スジ悪ポイント1 そもそも全有権者に占める30歳未満の割合が少なすぎる
すごーくざっくり数字を使って考えてみますが、総務省統計局がまとめた2025年3月報の人口推計によれば、5歳刻みの人口で2025年3月1日時点の推計人口は20〜24歳が621万人、25〜29歳が651万人です。選挙権は18歳以上なので15〜19歳の546万人のうち17、18、19歳は含めるのでこの3つの年齢区分を全部足しても1,818万人です。日本の全人口が1億2,344万人なので、割返すと全人口の14.7%位の人にしか恩恵がない政策をぶち上げたことになります。
【数字を引用した統計局のサイトはコチラ】
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html#monthly
加えてそもそも若年層の投票率はただでさえ低い投票率の中でも更に低く、総務省がまとめた「国政選挙における年代別投票率について」によれば、『令和4年7月に行われた第26回参議院議員通常選挙では、10歳代が35.42%、20歳代が33.99%、30歳代が44.80%となっています。(全年代を通じた投票率は52.05%)』
【総務省のサイトはコチラ】
https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/
当たり前ですが選挙はいかに多くの支持を集めるかがポイントです。だから候補者は、子育て対策に言及したかと思えば高齢者対策もアピールして、障害者も忘れていないよと政策メニューに組み込んだと思えば性的マイノリティへも…みたいに、結局総花的になってどの候補者も言ってることは大体同じみたいになってしまうわけです。
今回これまでの総花的な主張とは違うという意味でエッジを効かせてきたところは評価したいものの、これだけではとても「勝てる」政策とは言えないと思います。
スジ悪ポイント2 この政策で支持を集めても、その支持者達も時限的な支持者にしかなり得ない
自民党や公明党が何故選挙に強いか。それは「岩盤支持層」という、多少のことでは揺るがない支持基盤を持っているからです。
岩盤支持層って何?
岩盤支持層からの支持という言わば「下駄」を履かせてもらった状態で選挙戦を戦える。これは、特に投票率が低ければ低いほど効果を発揮します。これも簡単な例で考えてみます。
有権者100人の村で当選者1名を選ぶ選挙が行われます。候補者Aは、この村で20人を纏めた政党から公認されています。
この村で投票率が80%(80人が実際に投票する人)だったら、当選するには41票以上が必要となります。候補者Aは20票は岩盤支持層からの支持で持っているので後21票集める必要があります。
一方もし投票率が30%(30人が実際に投票する人)だったら、当選には16票あれば良く、岩盤支持層こ20票で何もせずとも当選できてしまうことになります。
この状況で政党からの公認等を受けていない候補者Bがいたとしたら、Bは41票、あるいは16票をすべて自力で集めなければならないことになります。このAとBの置かれている状況の違いは大きいですよね。
さてこの岩盤支持層、国民民主党のような新興の政党ではまだそこまで確固たるものを持っているわけではありません。そこで今回の政策を通じて支持政党を持っている人が少ない若年層を取り込んで岩盤支持層化したい思いが透けて見えます。
若年層も当たり前に歳を取る
しかし、今ターゲットにしている「若年層」が変わらずずっと若年層で居てくれるなら、この政策の意味は大きいのですがが、人間必ず歳を取るので、いつか若年層の対象でなくなる時が来てしまうのです。ほとんどの若年層有権者もそれは当然分かっているので、今回の政策に100%賛成する若年層有権者は少数だろうと思います。
今までの支持者が離れかねない悪手
今回の国民民主党の動きは、短期的な人気取りを狙った拙速なものでした。これまで進めてきた103万円の壁見直しや、減税についてどこまで出来るか分かりやすい根拠を示しながら有権者に提案することが求められていたのに、ニーズを掴みきれていなかったようです。
更に若年層だけに絞った政策を出したことで、今まで国民民主党を支持していた若年層以外の有権者が今後離れていくことが懸念されます。
選挙前に失ったものは、思ったより大きいかもしれません。