沈思黙考

日常の疑問から巡る思い

一応書いておくか…自民党総裁選

去年やったばかりなので「またか…」と言う気がする自民党総裁選。明日が投開票日なので一応展望について書いておこうかなと思います。

高市さんは今回も勝てない

勝てる芽が見えているならもっと早い段階で、党内で唯一残る派閥を持つ麻生さんが高市さんの支持を表明するはずです。

小泉さんには菅さんがついているし、林さんは旧岸田派出身だし、麻生さんの地元九州で麻生さんに対抗する力を持つ古賀さんも林さんを支持しているので、麻生さんが一番強い力を持つには高市さんが勝ってその裏で政権を支えるしかありませんでした。

でもその雰囲気が見えない。ということは麻生さんの中で「高市で勝てる」と確信できない情勢だということです。

そもそも、高市さんは決選投票に持ち込まれるとポジションが中道でない(右寄り?)と見られているため、幅広い支持をまとめられずに弱いという特徴があります。対抗となる小泉さん、林さんともにそこまでどちらかに寄った主張はしていないので、高市さんが勝つには1回目投票で勝負を決めるか、決選投票になるとしてもぶっちぎりの党員票を持ちつつ、議員票もそこそこ集めた1位となる必要があります。ところが今回も決選投票にもつれると見込まれており、高市さんの党員支持もぶっちぎりではなさそうということで、麻生さんは高市さん支持の選択肢は捨てていると思われます。

わかりやすいのは小泉or林×高市の決選投票

高市さんが何とか決選投票に2位で残って、小泉さんか林さんと決選投票ならわかりやすいシナリオで「決選投票に残った高市さんではない候補」の勝利となります。目下報道では小泉陣営が小泉×林の決選投票を避けるため、余裕があれば高市さんに1回目投票で票を回す可能性みたいなことも伝えられています。

ややこしい小泉×林の決選投票…ここで動く麻生さん

小泉陣営が避けたがっている小泉×林の決選投票。この場合でもメインシナリオは小泉さんの勝利だろうと思いますが、このシナリオになるとここまで態度を鮮明にしていない麻生さんが生き生きしてくることになります。麻生さんの思い一つでどちらにするか決めることができる。まさにキャスティングボートを麻生さんが握ることになります。

小泉陣営、特に菅さんとしては自身だけが小泉さんの後見となっている方が当然いいわけですから、麻生さんの影響力が入ってしまうこのシナリオでの勝ち筋はできれば避けたいところでしょう。

そこで1回目投票で高市さんへ票を回すとかいう皮算用をしているわけですが、そうした油断を林陣営がうまく突くことができれば、前回総裁選に引き続き、逆転で林さんに総裁の座が転がり込むということもありそうです。

逆転の林となった場合も、どんな勝ち方をするかが大事

林さんが勝てるシナリオは?

林さんが勝てるシナリオはあるでしょうか?

1回目投票では小泉×林の決選投票という状況を作り出すために麻生派から票をもらうことが期待できますが、決選投票となると前述した理由で基本的には麻生派の票は小泉さんに流れると思われます。

ここで大事になるのが茂木さんと小林さん、上川さんだと思っています。

茂木さんの協力

まず茂木さん。今回の総裁選に一番乗りで立候補表明して知名度向上に努めましたが、子ども食堂で自身のバースデーを祝うケーキを食べる演出が批判されたりしてイマイチ支持を広げることができませんでした。とはいえ、それなりに気脈を通じた議員はいるはずで、決選投票ではそこのグループが小泉、林のどちらに投票するかが重要になってきます。

林さんは報道番組の中で自分以外で誰が総裁にふさわしいか?とする質問で唯一茂木さんを指さしたことで話題になりました。茂木さんとしても悪い気はしていないでしょうし、それだけ林さんが茂木さんの能力を買っていることの証明でもあるため、茂木さんとしても林さんに投票して次期政権で主要ポストに就くというイメージもしやすいのではないでしょうか。

小林さんの「次の次」を見た計算

次に小林さん。こちらは前回総裁選への立候補と合わせて、党内的には小泉さんと並ぶ若手のホープとしてのポジションを確たるものとしつつあります。とはいえ、今回の総裁選でも決選投票に残ることは難しそうな情勢です。

ここで林さんと小泉さんのどちらにつくかという話ですが、基本的には小泉さんにつくことは難しいと思います。

自身よりさらに若い総裁が誕生してしまえば、更にその最後の一押しを自分がしたような形になってしまえば、小林さん自身が今後「期待の若手」というポジションで戦うことができなくなってしまいます。更に最後の最後で小泉陣営に参画したとしても、総裁選後の組閣でいいポジションがあてがわれる可能性は小さくなってしまいます。

それよりは、小泉×林の決選投票となれば、林さんに投票して「次の次」を目指して林内閣の中で重要ポジションでさらに研鑽を積む方がメリットが大きいと考えて、林さんへの投票となるのではないでしょうか?

決定打となる上川さんの翻意と「お公家集団」旧宏池会の流れを汲む岸田さんの戦略

最後に上川さん。前回総裁選で旧岸田派を割る形で林さんとともに総裁選に初挑戦していましたが、今回は立候補していません。彼女のもとでまとまっている旧岸田派がどう動くか?もポイントです。

目下のところ上川さんは小泉さんと行動を共にするとしていますが、実は旧岸田派との関係も切れているわけでないとなれば、決選投票では林さんのもとで旧岸田派勢力が結集するということもあり得るわけです。そしてそれこそが岸田さんの仕掛けた戦略だとすれば…

1回目投票の結果を見て小泉さんの流れが固いと見た麻生さんが、決選投票で小泉さんに投票し、林さんは小泉さんから翻意した上川さんを含む旧岸田派の全面支持を受けて当選すれば…林さんの後見は単独の岸田さんとなります。

 

菅さん、麻生さん、岸田さん…様々な思惑が錯綜する総裁選、結果はどうなるのでしょうか?