近頃ますます増えてきた○○ハラ。「ハラスメント」ハラスメント(ハラハラ)なんて言葉も出てきて、個人的には人とどうコミュニケーションを取れば良いんだか分からなくなりそうです。
今回はハラスメントの老舗(?)であるパワーハラスメントについて考えたいと思います。
そもそも、パワーハラスメントとは職場内での優位性や立場を利用して、労働者に対して業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせといった言動を行うことで労働者の就業環境が阻害されるもののことをいいます。
パワハラを認定するためには、発生した事案に対して、①そもそもその事案が本当に発生しているのか否か、②職場内での優位性や立場を利用した言動か否か、③業務の適正範囲を超えたものであるか否か、④労働者の就業環境が阻害される程度のものであるか否かといった複数のハードルを越える必要があります。
さらに大原則としてパワハラ加害者と被害者では、加害者の方がその組織で優位(偉い)にあるわけですから、もし被害者が単独で組織内の人事部門に被害を訴えたとしても、人事部門の担当者としては加害者と対峙して問題解決するより、被害者の訴えを黙殺する方が容易です(人事部門が加害者に対して取りうる手段に限りがあることも影響していますが、それは後述します)。こうして加害者への対応が遅くなるうちに被害者が休職したり、最悪の場合退職することになるのです。
そうするとパワハラ事案は無かったことになる(被害者がいなくなったため)ので、加害者にはなんのお咎めもありません。でも、組織の中ではその上司のもとにかつてパワハラ被害に遭って退職した人間がいたことは遅かれ早かれ広まるわけですから、その部署には誰もが行きたくないと思う。それでも人を配置しないと業務が進まないので誰かが異動(もはや生け贄ですね)することになり、新たなパワハラ被害者が発生する...最悪のループですね。
書いていて悲しくなりますが、これが組織の現実です。アカデミアで組織論やパワーハラスメント研究をしている人が提唱するご高説が響かないのは、こうした現実を直視しないで、人の個性を均質化して議論・研究を進めた結果だからだと思っています。
長くなってきたので今回はここまでとして、次回以降でパワハラ解決の方策を検討してみたいと思います。