沈思黙考

日常の疑問から巡る思い

パワハラ問題に人事部門ができること

以前このブログで、パワハラは無くならないという記事を書きました。

https://sioto310.hateblo.jp/entry/2024/02/14/081548

今回は組織において、パワハラ被害を訴えられたときに人事部門が取りうる対応について考えたいと思います。

パワハラ被害を訴えられたときに、人事部門がとれる対応には限りがあるということを、前回記事の中で書きました。

パワハラの事実があったとしても(パワハラの事実があったことを証明するだけでも一苦労ですが)、それを理由とした懲戒解雇まではほとんどの会社ではできないと思います。パワハラ加害者から解雇処分は不当だと裁判を起こされたら、それこそ長期間にわたって対応しないといけなくなりますし、会社がパワハラの事実認定をした証拠を示しても、裁判所がどう判断するか、最終的な部分は裁判してみないとわからないわけですから、万一解雇処分不当と認定されて解雇処分によって不当に労働を制限されていた分の賃金と賠償を命じられるなんてことになったら、企業としては大事なわけです。なのでそこまでのリスクをおかして解雇まで踏み切る企業は多くないと思います。

そうすると仮に一定期間停職などの処分をしていたとしても、加害者が組織に戻ってくることになるんですね。加害者と被害者が同じ部署に在籍し続けるのはさすがに良くないので、どちらかを異動させるというのが穏当な着地点となります。その際も加害者を異動させるには理由の説明が必要になります。ここで「あなたのパワハラが原因で○○部署へ異動させる」とは言えません。これも前述の通り、不当な異動命令だと裁判を起こされると厄介なことになります。なので、通常の人事異動と同じように(紛れて)異動させるか、被害者を異動させることになります。

被害者には、加害者から離れられる○○部署への異動を希望するか?と打診することが可能です。被害者も加害者から離れられるならと、提案を受け入れる可能性が高いですから、被害者が異動するのが一番対応策としては採用しやすいものとなります。

 

まとめると、パワハラ被害を訴えられたときの人事部門の対応方法は、採用しやすい順に

パワハラ被害者を異動させる

パワハラ加害者を通常の人事異動のタイミングで他の異動と混ぜる形で異動させる

パワハラ加害者にパワハラ事実を伝えて処分(けん責、減給、停職)を行う

パワハラ加害者にパワハラ事実を伝えて解雇処分する

 

大人の世界ではこういう形で対応(解決というよりとりあえず乗り切るというのがより正確な表現でしょうか...)できますが、類似ケースとして子供のいじめ問題ではこの対応も難しくなります。これについては後日別記事で書きたいと思います。

③、④が出来れば組織の働きやすさは一定水準に保つことができますが、①、②の対応を繰り返していると、組織の働きやすさは低下していきます。心理的安心が保たれない可能性がある組織で働きたいと思う人は少ないですからね。そしてこれが離職率の増加に繋がっていきます。

離職率が高い、特に若手の離職が増えたと感じる組織は、仕事のやりがいだとか報酬だとかの話も大事ですが、まずこの組織に属する際に心理的安心が本当に担保されているか、冷静に見つめ直すと解決の糸口が見つかるかもしれません。