沈思黙考

日常の疑問から巡る思い

民間では当たり前の改善が行政で出来ない理由

民間ではあり得ないような運用や仕組みを行政が長年にわたって使っているみたいなこと、よく耳にしませんか?

「行政は仕事をしていない」「民間の厳しさを知らないからだ」等と批判するのは簡単ですが、なぜそうなるのでしょう?民間で働く人が皆優秀で、行政で働く人は皆そうでないのでしょうか?

 

民間と行政の大きな違いのひとつに、提供する製品やサービスが使われなかったとき、市場から淘汰されるか否かという点が挙げられます。

純化して考えると、民間では、コストをかけて開発した製品やサービスが市場に受け入れられず使われない場合は、否応なく市場から撤退、最悪の場合は会社自体が倒産することになります。これは、市場という外圧によって会社内部の判断と無関係に強制的に生じる結果です。一方行政の場合、コストをかけて用意したサービスが使われなかったとき、その自治体が撤退して別の自治体になったり、その自治体が倒産することは(基本的には)ありません。民間のように強制的にサービス提供出来なくなるような環境ではありません。

サービス提供自体が止まらないのであればどうなるか?理想は速やかにそのサービスに対して何らかの改善が図られることです。民間では、提供当初は泣かず飛ばずだった製品やサービスを速やかに改善して、人気の製品やコンテンツにするという例はいくつもあります。この改善が起こる理由も、そのままの状態にしておくといずれ市場から淘汰されると所属メンバーみんなが予想できるからと言えると思います。みなが同じ将来を予想し、それを変えたいと願えば一致団結して行動しやすい環境です。

一方行政はどうか?提供を開始したサービスが使われなくても市場から淘汰されることはありません。そうすると所属メンバーの中に改善の将来を予想する人と現状維持の将来を予想する人が出てきます。改善の将来を予想する人が行動を起こしても民間のような一致団結した行動になっていないので改善に時間がかかります。

そうこうしているうちに民間と行政の大きな違いのもうひとつ、行政特有の短い期間での人事異動により、改善行動を起こそうとしていた人が異動する。後任者に引き継いでいるものの、改善の熱い想いはサービス導入した当事者よりもどうしても劣る。改善しなければと思いながらも、周りには現状維持で良いと思っている人がいる...具体的な改善への行動の優先順位がは少しずつ下がっていく...

行政で改善が進まない理由には、組織の仕組みや制度的な部分にも原因がありそうです(もちろん構成員の問題が全くないと言っているわけではありません)。

 

どうすれば改善が行われる組織になるのか、次回の記事で考えてみたいと思います。